この記事はこんな人におすすめ
- ChatGPTを使い始めた
- ChatGPTから理想の答えが返ってこない
- ChatGPTの上手なプロンプトを作りたい
人工知能(ChatGPT)との会話で目的を達成するためには、どのように話しかければよいのでしょうか。上手な質問(プロンプト)を作成できないと理想の答えをChatGPTから得られない可能性があります。
この記事では医師がChatGPTを活用して出来ることを研究している私が上手なプロンプトの書き方を解説します。
この記事を読むことで効果的なプロンプトの作成方法や活用法がわかります。読み終わる頃には、ChatGPTを最大限に活用するためのプロンプトを簡単に作成できるようになるでしょう。
ChatGPTのプロンプトとは
ここでは、ChatGPTのプロンプトの定義と役割について解説します。
プロンプトの定義
プロンプトとは、ChatGPTに入力するテキストのことです。ChatGPTの回答を生成するための指示や質問を含みます。
効果的なプロンプトにするためには、具体的かつ明確な指示を含みましょう。情報提供と条件の設定がしっかりと行われているものが望ましいです。プロンプトにはコンテクスト(文脈)を整理し、設定することで、より適切な応答が得られるようになります。
プロンプトの役割とその重要性
プロンプトは、ChatGPTの回答の品質を決定する重要な役割を担っています。適切なプロンプトにより、精度の高い情報を引き出すことが可能です。
ChatGPTを効果的に活用するためには、どのようなプロンプトを用いるかが鍵となります。
プロンプトの基本
Note株式会社のCXO、深津貴之さんが開発した「ChatGPT」向けの質問のテンプレートです。
#命令書:
あなたは、(例:プロのカウンセラー、医師、大学教授)です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高の結果を出力してください。
#制約条件:
・文字数 (例:500文字以内)
・(その他の条件を記載)
#入力文:
(質問、要求を入力)
#出力文:
一部、わかりやすいように修正しています。
黄色い下線の箇所を要求に合わせて変更してください。
このテンプレートを使うことで日本語で「#出力文:」のところに答えが得られます。
“深津式プロンプト”は汎用性の高いテンプレートであるため、医療の分野で使うには少しアレンジが必要です。完全にこの形式にあてはめなくても「ChatGPT」は理解してくれるため、「深津式プロンプト」の考え方をベースに質問してく。
効果的なプロンプトを作成するコツ
効果的なプロンプトを作成するコツは、以下の3つです。
- 具体的かつ明確に指示する
- 情報提供と条件設定を明確にする
- コンテクストを設定する
具体的かつ明確に指示する
効果的なプロンプト作成には明確な目的伝達が欠かせません。目的がはっきりしていると、結果を得る過程がスムーズに進みます。たとえば必要な情報量や適切なキーワードを指示した場合、はっきりとした具体的な回答を得られます。
曖昧さを排除すると、求める情報や回答に早く到達することが可能です。明確な指示は効率的なコミュニケーションに寄与し、目標達成へ大いに役立ちます。
情報提供と条件設定を明確にする
情報提供と条件の設定が明確であるほど、結果が期待通りになります。明確な情報提供は、ChatGPTが必要とする知識の範囲を理解できるようにするために重要です。ChatGPTが提供された情報を基に適切なアウトプットを生み出すための基礎を作るからです。
具体的には、ChatGPTに対して提供する情報の範囲や種類を事前に決め、必要な背景情報や詳細を伝えることが大切です。どのような結果が得たいかをはっきりと定義し、条件となる制約やルールも設定してください。設定することで、ChatGPTが期待されるタスクを効率的かつ正確に実行できます。
ChatGPTが嘘を付く問題などもあり、ChatGPTの出来ること出来ないことを理解しておく必要があります。
コンテクスト(文脈)を設定する
コンテクストの設定は、プロンプトの効果を大きく左右する要素です。コンテクストとは、プロンプトがどのような背景や状況下で利用されるかという情報を意味します。適切な設定により、ChatGPTに求める回答の方向性を示すことが可能です。
たとえば、教育的な内容を要求する場合「学習者がどのレベルにいるのか」「どの主題について学んでいるのか」といった情報がコンテクストとして重要です。
医療で使う場合は回答を求める分野はどこなのか?医学、看護学、薬学など学問の分野や、誰向けけのか?医師、看護師、薬剤師など。適切なコンテクストが含まれることで、ChatGPTが提供する情報が具体化されます。
プロンプトの種類と特徴
プロンプトには以下のような形式があります。
- 質問型プロンプト
- コマンド型プロンプト
- 対話型プロンプト
- 創造型プロンプト
それぞれの特徴を理解し、状況に応じて適切に使用することで、求める情報や結果を得られます。
質問型プロンプト
質問型プロンプトは、ユーザーがChatGPTに質問する形式のプロンプトです。情報や知識を求めるときに使います。
開かれた形式のプロンプトは、以下のような多岐にわたるシチュエーションで役立ちます。
- インタビュー
- アンケート
- 創作活動
- 議論を促進するセッション
コマンド型プロンプト
コマンド型プロンプトは、直接的な命令や要求を伝える際に使用されます。短くて明確な文言で具体的な行動を促すことが特徴です。ユーザーからの応答を必要としない単一のアクションを指示する場面で効果的です。
画像生成などで「パソコンの操作をする医師の画像を作ってください」など、プロンプトが明確であればあるほど、期待する結果(画像)を得られる可能性が高いです。
対話型プロンプト
対話型プロンプトは、人間とのやり取りを模倣した形で会話を進めるためのプロンプトです。ユーザーからの質問や要望に応じて、適切な答えを提供することを目指します。
対話のプロセスは質問と回答が交互に行われることで成り立っており、対話を通じて情報収集や問題解決をサポートします。対話型プロンプトは余り考える必要がなく、自然に、あなたらしい言葉遣いでチャットをするようにプロンプトを作ります。
ChatGPTに嫌われることはないので、安心して会話できます。
医療者の相談に特化したGPTsがあるので使ってみてください。
創造型プロンプト
新しいアイデアや内容を生み出すために使われるのが創造型プロンプトです。以下のようなものを作る際に役立ちます。
- 提案
- 作品
- 文章
ChatGPTは曖昧な表現でも形にしてくれる能力があります。その際に自分の中に溢れ出るアイディや提案などを積極的にプロンプトにしてみましょう。
ChatGPTのプロンプト活用法
ここではプロンプト活用法を目的別に紹介します。
記事作成のためのプロンプト例
記事作成にプロンプトを使用すると、質の高いコンテンツを素早く作成することが可能です。
良いプロンプトを作成するには、記事のテーマや目的、対象読者を明確に定めることが大切です。以下を意識してプロンプトを作成してください。
- 情報と条件設定を明確にする
- 意識したキーワードを使用する
以上の要素をプロンプトに取り入れることで、検索エンジンでの視認性を高められます。質の高いコンテンツ制作に貢献するでしょう。
医療記事を依頼されたときなど、ChatGPTを上手に活用できます。
データ分析のためのプロンプト例
データ分析を行う際には、目的に応じた詳細な指示を与えることが大切です。詳細な指示によって分析の精度を高めることができるからです。分析のためのプロンプトは、以下の項目を踏まえて具体的に指示しましょう。
- 分析したい内容
- 分析するデータ
- 使いたい手法
たとえば病院経営のデータから傾向を読み取りたい場合、下記のように分析の目的をはっきりさせます。
- どのような患者が多いのか
- どの時間帯に受診が多いのか
- どのような疾患の受診が多いのか
分析に使うデータの期間や条件、統計手法や分析モデルについても指定します。「どのような結論を導き出せるのか」「どんな戦略的意思決定につながるのか」を考える質問も含めましょう。より実践的な分析が可能です。
プロンプトをうまく設計することでデータから有益な情報を引き出し、ビジネスの発展に役立ちます。
クリエイティブ作業のためのプロンプト例
クリエイティブな仕事、医療では論文作成などにおいて、アイディアや発想が必要なときに重宝するのが、プロンプトを使ったアイデア創出法です。プロンプトは、以下のようなアイディアを思いつく手助けをします。
- 何を結論として言うのか
- 何のデータを解析するのか
- 何が新しい発見となるのか
たとえば論文を作成するときに一人で作成していると、独りよがりの論文となってしまいます。その結果、世の中に必要とされていない情報を提供してしまい、アクセプトまで至らない可能性があります。
論文の構想や結論をChatGPTと議論することでニーズの高い論文作成が可能になります。
教育用のプロンプト例
教育の現場において、プロンプトは学生の学習を助けるための強力なツールです。学生が自主的に考えた上で解決策を見つける力を育成するのに役立ちます。
教育用のプロンプトを効果的に使用するには、学年や学習レベルに応じて調整することが重要です。たとえば、医学部1年目にする単純な質問、医学部6年生にはより複雑な問題解決を促す質問をすることで、各段階に適した学習を促進します。
開かれた質問を用いると、学生が自由に考えを展開でき、創造力や批判的思考力の育成にもつながります。
プロンプトを使用する際には、フィードバックの提供が大切です。指導する医師からの適切なフィードバックにより、学生は自分の理解を深め、思考プロセスを振り返る機会を得ます。教育者が学生の回答を尊重し、共に考えを深めることで、より効果的な学習成果が期待できます。
コミュニケーション支援のためのプロンプト例
コミュニケーションを支援するためにも、プロンプトが活用できます。
たとえば、問い合わせに対応するための自動応答テンプレートの作成により、迅速な対応が可能になります。迅速な対応は、顧客に好印象を与えることにつながります。メールの書き出しや結びの例文にプロンプトを活用すると、メールの品質を保ち、効率を向上させることも可能です。
しかし、患者とのコミニュケーションやインフォームドコンセント(IC)はChatGPTにすべて任せることは出来ません。協力してもらうことは可能です。ChatGPTをICなどに使うことで患者理解も深まるICが可能になります。
具体的には多言語の翻訳で日本語が分からない患者へのIC、医学知識に乏しい患者への説明などに利用可能です。
まとめ
ChatGPTのプロンプト作成においては、具体性と明確さを持った指示が非常に重要です。ChatGPTの応答品質が向上し、望む結果を得やすくなります。プロンプトを構造化し、適切な情報と条件を提供することで、さまざまな種類のプロンプトを効率的に活用することが可能です。
効率的で質の高いChatGPTとの対話を目指すために、プロンプト作成のコツを理解した上で適切に活用することが推奨されます。
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