この記事はこんな人におすすめ
- ICが苦手
- ICをしたけど患者さんが不安そう
- 患者さんへのICにとても時間がかかる
患者さんへのIC(インフォームドコンセント)は医師の日常業務の中心です。
・ICに時間がかかる
・医学用語が理解できていない患者さんへのIC
・医学用語が理解できず、患者から同意が得られない
・後日、患者さんが理解していなかった
これらは多くの医師が直面する問題で、若手医師は特にICがうまくいかないことが多く、時間をとられます。また、情報が伝わらないと、それは大きなリスクにつながります。
どうすればスムーズに、わかりやすくICができるでしょうか?その答えは
「ChatGPTを活用する」
この記事では、「IC」に役立つ「ChatGPT」の活用方法とその驚くべきメリットについて詳しく解説します。
「ChatGPT」を使えば、「IC」をもっと効率的にに行うことができます。
医学知識のない患者さんへの「IC」に
「ChatGPT」が有用
この記事を読むことで、新しいコミュニケーションの方法を学び、患者さんとの関係をさらに深める手助けになれば幸いです。
Dr.ちゃろ(私)と「IC」と「ChatGPT」
医師として多くの「IC」を行ってきました。上手な「IC」ができずに患者さんを不安にさせてしまった経験もあります。効率よく、患者さんへ伝わる「IC」の仕方を考えている時に「ChatGPT」に出合いました。私自身が「ChatGPT」を使用して患者さんへ「IC」をした経験から、この記事を通じて「ChatGPT」の「IC」への活用方法を伝えたいと思います。
IC(インフォームドコンセント)
医療行為を受ける前に、医師および看護師から医療行為について、わかりやすく十分な説明を受け、それに対して患者さんは疑問があれば解消し、内容について十分納得した上で、その医療行為に同意することです。すべての医療行為について必要な手続きです。もともとは米国で生まれた言葉で、“十分な説明と同意”と訳される場合もあります。
引用 国立がん研究センター「がん情報サービス」の用語集
「IC」は医師の日常業務の中心です。「IC」の上手な医師は日常の業務が円滑になり、患者さんとのトラブルが少ない。
日々、臨床で業務を行っていると実感することです。なによりも、上手なICは患者さんが安心して医療を受けることができるため、患者さんに最大のメリットがあります。
一方、ICがうまくいかないと患者さんは不安になり、トラブルのリスクにもなります。
ICがうまくいかない時のリスク
患者さんとの関係性が悪化
なぜ、そうなのか?以下に解説します。
患者さんの不安や疑問が解消されない
十分な情報提供や説明がなされないため、患者さんは検査や治療に対する不安や疑問を持ち続ける可能性があります。その結果、患者さんは安心して医療が受けられません。
患者さんの信頼喪失
医師が十分な情報を提供しない、または不適切な方法で情報を伝えると、患者さんは医師や医療機関を信頼してくれなくなってしまいます。
治療の効果が低下する可能性
患者さんが治療の目的や方法を理解していない場合、検査や治療へのモチベーションが低下し、期待した結果が得られなくなってしまう可能性があります。
患者さんの自己決定権の侵害
十分な情報提供がなされない場合、患者さんの自己決定権が侵害される可能性があり、患者さんが望まない検査や治療になってしまう可能性があります。
患者さんが十分納得できない状態で検査や治療を受けることになり、患者さんが医療行為に不信感を持ってしまう可能性が高まります。
ChatGPT×IC(インフォームドコンセント)
「ChatGPT」ができること
・24時間365日、いつ質問しても回答してくれる
・説明する医師も分からないことを簡単に調べられる
・説明する内容を「わかりやすく」表現しなおしてくれる
24時間365日、いつ質問しても回答してくれる
夜間、当直中にICをしなければいけないこともあり、上級医へ電話をするか迷う場面もあると思います。
その時に「ChatGPT」に質問をすると欲しい答えが得られる可能性があります。
説明する医師も分からないことを簡単に調べられる
ICの準備中に説明できない用語が出てきた時に、「ChatGPT」に聞くことですぐに答えが得られます。
・最新の論文を検索する。
・論文内容を一瞬で要約する
これらは「ChatGPT」が得意にする機能です。
説明する内容を「わかりやすく」修正してくれる
医師は日常生活で「医療用語」を当たり前のように使ってしまいます。
「IC]もそうです。
これからICしますね
アイ、シー???
私たちの業界ではあたり前になっている用語も
患者さんからすると「???」となってしまいます。
こんな時に「ChatGPT」に「インフォームドコンセント」について教えて。と聞くと
“患者さんが自分の治療について十分に理解し、同意すること”と答えてくれます。
若手医師に有用
若手医師が「IC」に「ChatGPT」を使うことに適している理由は
・パソコン(スマホ)作業になれている
・ICが早く上達する
パソコン(スマホ)作業になれている
若手医師は普段からパソコン(スマホ)操作になれており、「ChatGPT」すぐに使いこなせます。
ICが早く上達する
若手のうちはICの経験に乏しく、上手なICができるまでに時間がかかります。
今までは上級医のICに同席して、何年もかけて
・言い回し
・表現方法
などを勉強します。(私ももちろんそうでした・・・。)
「ChatGPT」を使ってわかりやすい「言い回し」「表現方法」に短時間で多く触れられるため、早く「上手なIC」が身につきます。
ICがうまくいくメリット
患者さんとの関係性が良好に
患者さんが十分納得して検査や治療を受けることになり、安心して医療行為を受けられるため良好な医師-患者関係が築けます。
私の経験上、患者さんと良好な関係を築けていると起こってしまった合併症や、治療経過が患者さんの思い通りではない場合の医師側の負担が格段に変わることを体感しています。
具体的な活用方法
・説明する内容を「わかりやすく」表現しなおしてくれる
・最新の論文を検索する。
・論文内容を一瞬で要約する
説明する内容を「わかりやすく」表現しなおしてくれる
例えば
「膀胱鏡の検査について説明する」場合
普通に説明すると「膀胱鏡を尿道から挿入して、血尿の原因検索目的に膀胱内の腫瘍の有無を確認します。検査後に疼痛や頻尿、尿路感染のリスクがあります。」
「ChatGPT」
「膀胱鏡という道具を使って、尿から出る血の原因を調べるために、尿の通り道を通って膀胱の中をのぞきます。この検査で、膀胱の中にできものがあるかどうかを確認します。検査の後、ちょっとした痛みや、よく尿が出ること、尿道に菌が入るリスクがあります。」
と修正してくれました。
尿道から挿入して → 尿の通り道を通って
血尿の原因 → 尿から出る血の原因
尿路感染 → 尿道に菌が入る
ここで重要なのは「プロンプト」です。
「プロンプト」とは「ChatGPT」に質問するときの文章で「呪文」などと呼ばれることがあります。
今回の「プロンプト」は
あなたは医師です。
「(説明内容)」
これを医学知識のない患者さんへ分かるように書き直して。
このように「ChatGPT」にお願いしました。「ChatGPT」に役割をあたえて、やることを明示する。これを行うことで期待した答えが得やすくなります。
論文を検索と要約
ICするための知識として情報を得ようとすると「情報の正確性」が重要になります。
「ChatGPT」の弱点として情報元の情報が正確かどうかは調べる術がありません。
そこで「ChatGPT」に導入できるプラグイン、「Scholar AI」の使用をおすすめします。
このプラグインはオープンアクセスの査読ありの論文を検索してくれて、指示をすれば要約もしてくれます。
これにより「情報の正確性」を担保しつつ効率的に情報を得ることができます。
注意点
ファクトチェック
得られた情報が正しいか間違っているかを確認することです。
現在の「ChatGPT」では情報の出どころがどこかは提示してくれません。そのため、得られた情報の真偽を確認することが必要になります。
特に「IC」は患者さんの体に直接かかわる内容であり、入念なファクトチェックが必要になります。
機密情報や個人情報の流出不安
「ChatGPT」に入力した質問は蓄積されて、学習される可能性があります。質問内容が最終的に他人に引き出されてしまう可能性も否定できないということです。
そのため機密情報や個人情報を安易にChatGPTへ入力することは情報流出になってしまうかもしれません。
「IC」のために「ChatGPT」を使う際には患者さんの個人情報が入っていないかを確認する必要があります。
「機密情報や個人情報」は入力しない!
Q&A
Q1 「ChatGPT」は医学的な知識を持っていますか?
A1 「ChatGPT」は多くの医学的な情報を持っていますが、情報の正確性に弱点があるため、「Scholar AI」などのプラグインを使って情報元が分かるようにして情報を得ることをおすすめします。
Q2 説明の正確性は保証されていますか?
A2 「ChatGPT」は高度な技術を使用していますが、「IC」は個別性が高いため正確性の最終的な判断は医師が行うべきです。
Q3 患者さんが理解できない場合、どうすればいいですか?
A3 質問の内容に応じて、「ChatGPT」にさらなる要求(質問)をすることで欲しい答えを得ることができます。
Q4 「ChatGPT」はどのようにして医学的な情報を得ていますか?
A4 「ChatGPT」は多くの医学文献や情報を学習しています。プラグインが無いと引用元の表示などが難しい場合があります。
Q5 「ChatGPT」だけでインフォームドコンセントは完了しますか?
A5 「ChatGPT」は補助ツールとして使用することをおすすめします。最終的な説明は、医師が責任をもって患者さんへ行う必要があります。
気になる点などあれば「お問い合わせ」から質問してください。実際使用した感想など、答えられるものは直接またはQ&Aコーナーにて回答させていただきます。
まとめ
医学知識のない患者さんへの「IC」に
「ChatGPT」が有用
「ChatGPT」は「IC]を効率的かつわかりやすくするツールです。「ChatGPT」を活用することで患者さんの疑問や不安に対して、わかりやすく説明することができます。
医師の業務の大部分を占める「IC」をさらに効果的に行うために、「ChatGPT」の活用を検討してみてください。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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